スーパーでお肉を選ぶとき、まず最初に「消費期限」を確認する方は多いのではないでしょうか。
「できるだけ期限が長いものを選びたい。」
そう考えるのは、ごく自然なことです。
もちろん、消費期限はとても大切な情報です。
しかし、精肉担当としてお伝えしたいのは、消費期限だけでお肉を選ぶのは少しもったいないということです。
今回は、精肉担当が売場で実際に見ている「お肉選びのポイント」を紹介します。
私が目指しているのは「鮮度抜群」の売場
精肉担当として私が目指している売場があります。
それは、お客様が冷蔵庫を開けたとき、「まだ鮮度が良さそうだ」と感じていただける商品を提供することです。
もちろん、消費期限を過ぎた商品の飲食をおすすめしているわけではありません。
それくらい鮮度や品質に自信を持てる商品を売場に並べたい、というのが私の理想です。
だからこそ、日々の温度管理や鮮度管理を徹底し、自信を持って販売できる商品づくりを心掛けています。
消費期限は「おいしさ」の期限ではない
消費期限は、おいしさを保証する日付ではありません。
適切な温度で保存した場合に、安全に食べられる目安として設定されています。
そのため、
「消費期限が長い=一番おいしいお肉」
というわけではありません。
もちろん期限内に食べることは大切ですが、おいしさはそれだけでは決まりません。
屠畜から小売パックまでの工程で、消費期限は一律ではない
「消費期限が長い商品の方が新しい。」
そう思われる方は多いかもしれません。
しかし、実際には屠畜から小売パックになるまでの工程や包装方法の違いによって、消費期限の設定は一律ではありません。
例えば、多くのスーパーでは牛肉は真空包装された状態で入荷します。
牛肉は豚肉よりも鮮度の影響を受けやすく、一頭が大きいため、一日で使い切ることを前提としていません。
そのため、真空包装によって品質を保ちながら店舗へ届けられることが一般的です。
一方で、豚肉は真空包装されたものと、そうでない状態で入荷するものがあり、屠畜後の処理方法や流通の違いによって包装形態が異なります。
そして、スーパーで「鮮度が良い」と言われるお肉は、多くの場合、小売パックに加工されてからの時間が短いものを指します。
つまり、同じ日に屠畜・加工された原料であっても、真空包装かそうでないか、どの段階で小売パックにされたかによって、消費期限の設定や見え方は変わってきます。
消費期限だけを見て「こちらの方が新しい」と判断できるとは限らないのは、このためです。
商品の特徴や包装方法、加工のタイミングなど、さまざまな要素を踏まえて売場に並んでいることを知ると、お肉選びがもっと面白くなると思います。
同じ商品名でも、中身はまったく同じではない
牛肉や豚肉は、一頭一頭が大きいため、同じ商品名でも見た目や味わいが異なります。
例えば「豚ロースうす切り」でも、リブロース側は脂が入りやすく、ジューシーな味わいです。
一方、モモ側に近いロースは脂が少なく、あっさりとした食べやすさがあります。
どちらが良いということではなく、それぞれに魅力があります。
だからこそ、商品名だけではなく、見た目もよく見て、自分の好みに合ったお肉を選ぶことをおすすめします。
鶏肉は比較的個体差が少ないですが、牛肉や豚肉は「同じ商品でも違いを楽しめる」のも魅力の一つです。
希少部位との出会いは一期一会
牛を一頭買いしているスーパーでは、日によって並ぶ希少部位が変わることがあります。
イチボやランプ、ミスジなど、毎日同じ部位が並ぶわけではありません。
私も売場で「今日はイチボがある」「今日はカイノミが取れた」とワクワクすることがあります。
その日にしか出会えない部位もあります。
だから私は、消費期限だけを見て商品を選ぶのではなく、「今日はどんなお肉が並んでいるのだろう」という視点でも売場を見ていただきたいと思っています。
割引シール=一番お得とは限らない
消費期限が近づくと、割引シールが貼られている商品を見かけることがあります。
もちろん、お得に購入できるチャンスではあります。
しかし、「2割引だから一番お得」とは限りません。
割引になる理由はさまざまです。
● 消費期限が近い
● 脂が多く好みが分かれやすい
● 見た目が少し不揃い
● 在庫調整のため
など、日付以外の理由で値引きされることもあります。
だからこそ、割引率だけを見るのではなく、「なぜこの商品が値引きされているのか」という視点で見てみると、より納得して商品を選ぶことができます。
精肉担当は「食べる日」まで考えておすすめしている
お客様から、
「どれがおすすめですか?」
と聞かれることがあります。
そんなとき、私たちは商品の値段だけを見ておすすめしているわけではありません。
「今日は何を作る予定ですか?」
「いつ食べる予定ですか?」
そんな会話の中から、お客様に合った商品を提案しています。
同じお肉でも、食べる日や料理によっておすすめは変わるからです。
おわりに
消費期限を見ることはもちろん大切です。
でも、それだけでお肉の価値を決めてしまうのは少しもったいないと思います。
お肉には、一頭一頭違う個性があります。
その日の売場だからこそ出会える商品もあります。
ドリップや脂の入り方、包装方法、希少部位との出会いなど、少し視点を変えるだけで、お肉選びはもっと楽しくなります。
次にスーパーでお肉を選ぶときは、ぜひ「今日はどんなお肉と出会えるかな」という気持ちで精肉売場を歩いてみてください。
きっと、いつもの買い物が少し楽しくなるはずです。

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